生態情報に基づいたバーチャルホタルイルミネーションシステム
2007-01-19 Fri 11:43
 最近のテレビや新聞のニュースでは,ストレスや精神の不安定による中高年の自殺、青少年が引き起こす悲惨な事件・事故がしばしば取り上げられています。また,老人福祉施設やホスピス医療の現場では、現代医学をしても治療が難しい方々が存在しています。こうした現状を考えると、現代人は、常に何らかの形で心の癒しを求めているのではないでしょうか。そこで、私達は、幻想的な光によって古来より日本人の心を魅了し続けて来たホタルの光やその生態系としての水圏環境を癒しの一つとして取り上げ、その光の不思議と人の感性について研究してきました。

 光画像処理や統計処理などの工学的技法を駆使して、ホタルの光に見られるゆらぎ特性を計測・解析するとともに、感性工学的な研究を展開してきました。その結果、ホタルの発光パターンには、「1/f」ゆらぎモードが存在し、それが人の感性と密接に関連してきることが明らかになってきました。

 この研究は、将来の病院やホスピス及び福祉施設などにホタルとそのミニ生態系による癒し空間創造へ向けた初めての試みでもあります。

 バーチャルホタルイルミネーションシステムは、上記の社会的な背景を踏まえて福祉目的で開発したもので、ホタルの発光パターンをコンピューターに取り込み、その生物情報データベースに基づいてLEDを発光させるものであります。

 バーチャルホタルイルミネーションシステムに供すべき生物情報は、得られた光動画像に基づいた発光部の時系列な輝度変動であります。解像度は8ビットであり,輝度値は256階調の相対的な値で得られます。使用したLEDは、φ3[mm]とφ5[mm]の黄緑色であり、表面を拡散面に加工してあります。これは、ホタルの発光部を出来る限り忠実に再現するためであると同時に、発光の色相情報に合致させるためです。

 生態的な輝度の考察から、φ3のLEDはヘイケボタル、φ5のLEDはゲンジボタルに見立てています。しかしながら、ある一匹のホタルの時系列な輝度変動データは34秒ほどしかないため、長時間発光させ続けるにはデータを繰り返し使用せざるを得ません。このシステムでは,繰り返しによる違和感や慣れを防ぐため、一定の発光パターンの間に発光休止区間を入れ、それを「1/f」でゆらがしてあります。

 一方、本システムの工学的な検証は,まず、システムから得られた光情報を処理・解析して、天然のホタルの光情報と比較することで定量的に確認しました。さらに、感性工学的な検証や脳波計測も併せて実施し,本システムが創り出す光が天然のそれと同程度の癒し効果を有していることを確認しました。

 ここでは、天然のホタルや本システムが供する光にアルファ波が最も誘発されることも確認しました。

 水圏環境を忠実にかつコンパクトに再現したジオラマにバーチャルホタルイルミネーションシステムを組み込んだものもあります。特にジオラマした理由は、細菌や微生物の付着・培養などを避ける老人福祉施設や病院などへの導入を考慮して、全て樹脂などの無機物で構成しています。

 なお、ジオラマやホタルの匹数は、個々のニーズに合わせて如何なる形態・寸法にも対応可能であります。

 21世紀は,環境・福祉・情報そしてバイオテクノロジーの時代と言われています。特に、生物情報を駆使した工学は、遺伝子工学に基づいた分野だけではなく、機能・エネルギーの高効率化や人に優しい福祉・環境空間を創造するのにも有効となると信じています。私達は人やホタルなどの生物生態情報を解析することにより、新たに工学・生物学・医学などを融合させて、人々の生活に密着した快適空間の実現を目指しています。

赤羽先生音変換実験

茨城大学理工学・赤羽助教授(理学博士・物理学)が板橋区ホタル飼育施設に於いて、
ホタルの光を音に、音を光に変える装置を設定しているところ。

ホタルロボット

ホタルロボット(ホタルは紙粘土で作ったもの)
別窓 | ホタル・昆虫学・動物学・植物学・工学・生化学・物理学・生物学・医学・病理学・免疫学・細胞学・細菌学・地学・土壌生物学 | top↑
No.15 - [http://hotaruabe.blog72.fc2.com/blog-entry-15.html]
| ホタルのホンネ(本音) |